■問題意識(研究テーマの背景)
会計は、企業の活動にかかわる一部の専門職の人々(経理担当者や公認会計士など)が使用する、専門的な技術だと捉えられがちです。しかし、会計が有する機能のうち、「測定・計算を通じた数値化」に目を向ければ、そのエッセンスは私たちの日常生活にも見られるものです。そして、私たちの普段の生活での意思決定を思い返したり、社会の動きを詳細に観察したりすれば、「測定」や「計算」といった行為・システム、そしてこれらからもたらされる「数値」という情報が個人や社会に対して、いかに大きな影響力を持っているかが分かるでしょう(利益額や偏差値といった様々な数値情報を根拠に私たちは意思決定を行い、「ROE 8%」や「内閣支持率」などの数値情報(数値目標)は社会の動向に大きな影響力を持っています)。つまり、計算や測定は人々の判断や行動を容易に変容させることができ、さらには社会をも動かす非常に大きな力があるといえるのです。そしてこの計算や測定の機能を会計が有している以上、会計という技術にも同様の影響力が備わっているといえます。
■ゼミの目標
中澤ゼミでは、上記のような会計観を前提とし、会計(そしてその機能である計算・測定)が社会のなかでどのような役割を担い、どのような可能性を持っているのかについて考え、それについて自身の考えを論理的に説明できるだけの思考力の涵養を最優先の目標とします。
■中澤ゼミで専門的に学ぶ領域:管理会計と社会環境会計
中澤ゼミでは、「人」に影響を与える計算・測定に関連した、「コントロール」にかかわる会計(管理会計)に主な焦点を当て、会計が経営者や従業員の意思決定や行動に与える影響や、その仕組みについて詳しく学習していきます。
また中澤ゼミでは、「社会」に影響を与える計算・測定に関連して、社会問題(長時間労働や雇用での男女格差など)や環境問題(地球温暖化など)の解決に貢献する会計(社会環境会計)についても学習することができます。
2年次(演習Ⅰ)
議論のしやすい環境づくりを行うとともに、研究やプレゼンに関わる基礎的な力を養います。
3年次(演習Ⅱ)
専門書の輪読を通じて、管理会計のより高度な知識の獲得を目指します。また、ゼミ内で研究テーマごとにグループに分かれ、合同ゼミやビジカンでの報告に向けて研究を進めます。
4年次(演習Ⅲ)
各自が自身の興味関心に従ってテーマを選択・設定し、卒業論文を執筆します。
■グループワークの成果(50%)、課題提出物(30%)、参加態度(20%)
■中澤ゼミの学生は、3年次春学期開講の管理会計論A(水曜日1限)は必ず履修してください。
■他大学との合同ゼミ討論会および商学部ビジネスカンファレンスに参加します。
■中澤ゼミは会計・金融コースのゼミです。それ以外のコースの学生はゼミ決定後にコース変更を求めます。