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お知らせ

オーストラリア・アーミデールより(4)

皆さん、こんにちは、愛知学院商学部教員の中山です。

在外研究先のUniversity of New Englandでは、現在、Oorala Art Exhibitionというオーストラリア先住民であるアボリジニによる芸術作品を展示するイベントが開催されています。このイベントと関連して、先日学内でとある事件が発生しました。イベントを告知した布看板が何者かによって真っ二つに切り裂かれてしまったのです。早速、海外からの訪問研究員である私も含めた全スタッフ宛に大学からメールが届き、事件について警察に捜査を依頼していること、人種差別を大学として許容しないことなどが述べられていました。

大学が所在するアーミデール(Armidale)市は、内陸部にある人口22,000人程度の小さな都市です。しかし、大学があることもあって、オーストラリア先住民に限らず、アジア系、アラブ系、アフリカ系など様々な人種が多数住む、国際色、教養色の豊かな街です。しかし、この状況は例外であるようで、近隣の街に行くとアーミデールより大きな都市であっても、すれ違う人々のほとんどがヨーロッパ系、いわゆる白人であることが多いのです。個人的な感想ですが、オーストラリアの内陸部はこのような傾向が強いようです。一方、シドニー、ブリスベン、ゴールドコーストなどに行くと、観光客が多いこともあるにせよ、人種の多様性を強く感じます。

話を戻すと、オーストラリアでは、先住民の人々とその他の人々との経済格差や教育格差が社会問題となっています。そして、そういった問題を解決するために、様々な政策がとられています。また、小学校などでは、オーストラリアの国旗と並んで先住民の人々の旗も掲揚されており、彼ら彼女らの文化を紹介し、体験する機会が設けられるなど、先住民の人々の生活や文化を尊重し、相互理解を深めようとする姿勢を感じます。ウルル(エアーズロック)は世界遺産として登録されている有名な観光地ですが、オーストラリア先住民にとっては一帯が先祖代々の聖地であることから、頂上への登山道はあるものの、先住民の心情を尊重し、登山しないことを推奨するアナウンスがなされています(2019年からは登山禁止となるようです)。

しかし、実際には冒頭のような事件が少なからずあることからも、先住民の人々とオーストラリアに移り住んできた人々との間では、必ずしも円滑な関係が構築されているわけではないことがうかがえます。だからこそ相互理解が必要とされているのでしょう。

世界各地では、民族、宗教、歴史、経済などの諸問題を背景とした紛争、対立、差別が見え隠れしています。オーストラリアもまたその例外ではないということを感じています。

そういった現実もありますが、一方で、オーストラリアに滞在していて、自分や家族が人種差別を受けていると感じたことは一度もありません。出会う人々のほとんどがフレンドリーでとても親切です。取ってつけたような結びになってしまいましたが、オーストラリアの名誉のためにつけくわえておきます。

 

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