商学部教員の中澤優介です。
商学部で簿記・会計の講義科目を担当しています。
というわけで今回の話は会計についてです。
この文章を読んでいる皆さんのなかには、高校で簿記・会計を勉強している人もいれば、大学で初めて簿記・会計に触れることになる、という人もいると思います。
特に簿記・会計に触れたことがない人は、「ムズかしそうな話が始まるぞ」と身構えるかもしれませんが、気楽に読んでください。
ちなみに、商学部での会計教育においては「学問的学びと資格取得の両立」を重視しており、簿記の講義科目は資格(日商簿記検定)の各レベルに対応した形で開講されているので、大学から会計を勉強する人も、高校ですでに会計を勉強したことがある人も、ご自身のレベルに合わせて簿記・会計を深く学んでいくことができます。
さて、今回は私が担当している「管理会計論」という講義科目を紹介します。
管理会計論ではそのままズバリ、「管理会計」を学びます。
といっても、「そもそも管理会計って何やねん」「管理会計って言葉、初めて聞いたよ」という人も多いと思いますので、以下では管理会計論の授業を通して学ぶ、管理会計について紹介します。
なお、本題に入る前にお断りしておきますが、今回の私の話(文章)は長いです。
(分かりやすさを心がけて書いているうち、長文となってしまいました)
ですので、「文章が長くて読むのがかったるいな~」という方は、この文章の最後に要約を掲載しているので、そちらを確認してくださいね。
「会計」という言葉を聞くと、「簿記」とか、「数字が並んだ書類(財務諸表)を作成するためのもの」ということをイメージする人も多いかと思いますが、今回紹介する「管理会計」は、そういうイメージからは少し離れたものになります。
話は飛びますが、企業がビジネスを行ううえで重要なことは、お金を儲けることです
(カッコよくいえば、「利益の獲得」ですね)。
ですがこの「お金儲け」、簡単にできることではありません。
勘に頼った経営をしていても、運が良ければ一時的に儲かることがあるかもしれませんが、行き当たりばったりでビジネスをしていたのでは、安定的にお金を儲けることはできません。
つまり、戦略的(計画的)にビジネスを行っていくことが重要となります。
そのために企業は自社の戦略を立てるわけですが、いくら立派で詳細な戦略を立てたとしても、それを実現できなければ意味がありません。
また企業の場合、経営トップが中心となって戦略が決定されますが、その戦略の実現に向けて実際に行動するのは従業員です。
つまり、戦略を立てる人とそれを実行する人が違うわけですから、戦略は簡単に実現できるものではないのです。
なぜ突然戦略の話をしたのかというと、管理会計とは、この戦略を実現するために用いられる会計だからです。
先ほど説明したように、戦略の実現に向けて行動するのは従業員ですから、戦略を立てた人(経営陣)からすると、「戦略が実現するように従業員に行動してもらう」ことが必要になります。
また、戦略の実現には、企業が保有する設備や資金を活用することが必要ですが、設備も資金も無限にあるわけではないので、効率的に活用することが求められます。
このように戦略を実現するためには従業員・設備・資金(ヒト・モノ・カネ)といった企業が保有する経営資源を管理(コントロール)することが必要不可欠になるのですが、その管理の手段として用いられるのが管理会計なのです。
管理会計によって設備や資金はその活用度合や残額が数値として「見える化」されるので、より効率的な活用が可能となります。
また、ヒトは評価の基準に従って行動を変化させる(何で評価されるのかで異なる行動をとる)ので、従業員を管理するには業績の評価を通じた管理が有効ですが、従業員の業績を測定する主要な手段が管理会計になります。
戦略の実現に必要な項目を従業員の評価の基準に組み込むことで、従業員は戦略の実現のために行動するようになるのです。
このように、企業が戦略の実現を通じて安定的にビジネスを行うために、管理会計は必要不可欠なものとなっています。
以上が管理会計についてですが、いかがですか?
会計に対するイメージが少し変わったのではないでしょうか。
(書類を作ることだけが会計の仕事・役割ではないのです!)
今回紹介した管理会計を含め、簿記・会計を深く学びたい方は、愛知学院大学商学部で学んでみませんか?
「会計」という視点からビジネスそして社会を見ると、そこには今までとは全く異なる景色が広がっているのです。